2017-08

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ミタクェ・オヤシン

先月19日の午後、普段は静かな西伊豆町で、
川遊びで楽しい時を過ごすはずだった2組の親子連れは、
悲惨な感電事故にあって、おふたりがお亡くなりになり、お子さんや奥様合わせ
7名が感電するという事故がありました。

原因に鹿やイノシシなどの鳥獣被害防止のためにしかけた電気柵が
漏電したということでした。またこのことで、電気柵を設置した男性(79)が
今月7日に自殺されるという、何とも悲しい出来事がありました。

餌不足や後継者不足で耕作放棄地が増えたことなどから
野生動物が市街地近くまで接近し、農作物被害は深刻さを増しているようです。
農林水産省によると、総額は近年、年間200億円前後で推移しているといいます。

また電気柵は、網の柵に比べ格段に安価なことや、資格がなくても設置できることから、
多くの方が利用しており、設置の把握も難しいということです。

野生動物が街中や人里に現れ危害を与えたり、山菜採りに行って襲われたという話は、
今ではもう、当たり前のようによく聞かれる話です。
合わせて自然界の生態系のバランスが問われることも耳にします。

森の生態系のバランスが崩れてしまったのには、訳があります。

オオカミへの偏見や誤解

オオカミが日本で最後に確認されたのは明治の初めだそうですが、
その後絶滅しています。絶滅した理由はいくつか考えられますが、
近世、人間の生活の場が広がるにつれて山野が開発され、生活の場をめぐって
オオカミとの摩擦が増えたのと同時に、狂犬病が流行したこと。

また、明治以降、シカやイノシシ、サルなどの野生動物が乱獲され、
餌動物を失ったオオカミが人や家畜を襲撃して殺され、
オオカミそのものが害獣として、駆逐されるようになってしまったことや、
飢餓によって減少したことなど、多くのことが関係しているようです。

ところがオオカミの実際の生態とは異なる偏見や誤解がずいぶん多いようで、
危険な動物であると間違われて、次々に捕獲、駆除されていったそうです。

中世ヨーロッパ社会では、「凶悪」「貪欲」の代名詞として登場し、
羊などの家畜を襲う「飢えた野獣」として捉えられている傾向があります。

一方、古代ローマやモンゴルをはじめ、ネイティブアメリカンやアイヌの人々は、
オオカミを狩に長けた神のような存在として扱っていたようです。 参照


オオカミは自然生態系を維持する役目をもつ

オオカミは、さまざまな動物の捕食者として、生態系の上位にいる生き物だそうです。
日本でも、神や神の使いとして奉っている神社もありますね。
狛犬や、「お犬さま」という言葉、オオカミ=大神、など、どうやら歴史の背景には
オオカミと人間の関係も含まれているようです。

かつてはオオカミが森に住んでいることで、
自然生態系を維持することができていたのだそうです。

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オオカミ

2007/5  吉家世洋 (著) 丸山直樹 (監修)
  「日本の森にオオカミの群れを放て」からの引用文

森林が生き続けるためには、
生態系のバランスが常に適切に保たれていることが必要だ。
もし生物の種類が不足すれば、食物連鎖の鎖が切れて、
物質循環の流れが止まってしまう。

生態系を構成している生物のうちの、一種類が少なくなりすぎると、
その生物を餌にしている種類の生物も減って、二重三重に種類不足になる。
また、ある種類だけが多くなりすぎると、その種が餌にしている生物が減って、
やはり、種類不足が起きる。

生態系の中の微生物が急増した場合は、草木などに病害がおき、
昆虫などが大量発生すると虫害が起きる。
病虫害というのは、生態系のバランスに乱れが生じた場合の現象なのだ。

ただし、森林生態系は、他の生態系より安定している。
バランスが柔軟で、多少の故障は自己修復してしまう。
森林生態系は生物の種類が多い。
その特長が、バランスの柔軟性、安定性を生み出しているのだ。

生物の種類が少ない生態系はバランスが崩れやすい。
たとえば、植物の葉を食べるケムシの天敵が、
一種類のハチしかいない生態系があったとする。
そこでは、何かの理由でそのハチがいなくなると、ケムシは大量に増える。
そして、餌になる植物の葉を食べ尽くし手大量に枯死させる。虫害の発生だ。

そうなると、その植物のところで物質循環が途切れ、生態系が壊れ始めることになる。
人間が単一の種類の木だけを植えて生物層を単純化した、人工的な生態系の
植林地帯などでは、そうしたバランスの乱れが起きやすい。

だが、生物の種類が豊富な自然の森林生態系では、そんな事態はめったに起きない。
ケムシを食べる敵もハチだけでなく、小鳥、クモ、カマキリと多様なのが、
健全な自然の森林生態系だ。だから、もし、天敵にハチがいなくなっても、
小鳥やクモなどが、ケムシをハチの分まで喜んで平らげる。

これは、もちろんケムシなどの昆虫に限らない。
ネズミやウサギなども、増えすぎると植物にダメージを与えて
生態系のバランスを乱すが、自然の森林では、彼らにも、イタチ、オコジョ、キツネ、
フクロウ、タカなど多種の敵がいる。
だから、適のうちのどれかが減っても、それが捕食していた分は、他の適たちが
寄ってたかって消化吸収し、ネズミやウサギの数は制限され続ける。

一種類の生物が欠けても、その生物の役割をすぐさま補う他の生物がそろっていて、
物質循環の流れが途切れない。
この特長があるため、森林生態系はいったん完成すると長い間安定して維持される。


だがしかし、同じ森林生態系の植物食の動物でも、シカなどの大型の種類になると
ケムシやウサギとは大分事情が違ってくる。
シカの数を制限する天敵の種類は、ウサギなどよりはるかに少ない。

日本本来の森林生態系でいえば、シカの天敵はたった一種類、オオカミだけだった。
シカの場合、ケムシやウサギと違って、天敵に代役はいなかったのだ。

日本の動物のうち、北海道のヒグマや、本州、四国、九州のツキノワグマも
シカを食べる。 ただし、クマは専門的な肉食獣ではない。
先祖は肉食獣だったが、その後、クリ、ドングリ、トチノミ、ノイチゴ、木の芽、フキなど
植物も多く食べる雑食動物になった。

だから、クマがシカを食べるのは、偶然シカを捕まえる機会にめぐり合ったときや、
たまたまシカの死体に出くわした場合に限られる。このタイプの肉食行動は
機会捕食といわれ、専門的な肉食獣の捕食とは区別されている。
つまり、クマやシカの数を十分に制限するところまでいかず、
オオカミほど綿密なシカとの共存関係も成立していない。

巨大なヒグマも、タフなツキノワグマも、シカやカモシカの本格的な天敵ではない。
日本では明治時代まで、大型草食獣の天敵は、唯一オオカミだけだったのだ。
(引用終了)

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著書「日本の森にオオカミの群れを放て」監修の丸山直樹氏(東京農工学名誉教授)

「日本で絶滅してしまったオオカミを復活させることで
自然生態系のバランスを取り戻せるかもしれないんです」


オオカミの復活で 植物連鎖を取り戻せより引用

生態系の安定、すなわち食物連鎖の保護は、生態学や保全生物学が教える
イロハのイです。
にもかかわらず、私はシカだけをみて、シカを駆除することだけを考えていました。
しかし日本では、捕食者であるオオカミを絶滅に追い込んで、食物連鎖を破壊していた。
それが今日のシカをはじめとした、中大型哺乳類の獣害問題の根底にあったことに
気付いたのです。

------

オオカミが絶滅してからも、これまでは地元の猟銃会などの手によって、
害獣となったシカやサル、イノシシの駆除が続けられてきました。
しかし、現在、問題が起きている中山間地は、人口が都市部に流出し、
超高齢社会を迎えているため活動もままならず、被害が拡大する一方です。
これがまた、人口の流出につながり、過疎の連鎖が起きているのが現実です。

-------

そこで、オオカミを復活させることによって、生態系の自己調整機能を取り戻し、
自然生態系を維持することができればと考えているのです。
実際、アメリカのイエローストーン国立公園では、増えすぎたエルクジカやバイソンの
個体数管理のため、捕食者であるオオカミを放し、失われた自然生態系のバランスを
再構築する取り組みがされているのですよ。

-------

先程の「赤頭巾」ではないですが、オオカミは物語の中に登場する際、極端な悪役が
多く、その生態と反して「残忍」なイメージが定着し、一般化してしまっています。
そこで、「日本オオカミ協会」では、オオカミについての科学的で正しい情報を普及
させるほか、自然生態系のバランスを維持するために再びオオカミを導入し、
森・オオカミ・人の、良い関係を築きたいと考えているんです。

(引用終了)
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ウィリアム・ソウルゼンバーグ著、野中香方子訳、文藝春秋  『捕食者なき世界』
オオカミが消えると森が死んでしまうという仮説

「オオカミなどの頂点捕食者(トップ・プレデター)がいなくなると、森が荒廃してしまう」
という仮説の出現が、半世紀に亘り生態学上の世界観を巡る論争を巻き起こしてきたが、
この仮説は圧倒的な反対論の前では少数派であり、異端扱いされてきた。

頂点捕食者とは、食物連鎖の捕食ピラミッドの頂点に位置するオオカミ、ピューマ、
ハイイログマ、ライオン、ジャガーなどの大型肉食獣のことである。

何らかの要因で、このピラミッドの頂点から大型の捕食動物が取り除かれると、
生態系は土台から崩れていく。
地球上のそれぞれの場所で、その生態系が多様性と安定を保つことができるか、
あるいは無秩序で貧弱なものになってしまうかは、
頂点捕食者の有無に懸かっているというのだ。

(引用終了)

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ハイブリッドウルフ

それにしても明治の初めにオオカミが絶滅した後から近年までは
こうした獣害は今ほど頻繁ではありませんでした。
近年になって急激に増えたかのようです。

それは山村のハンターが今よりずっと多かったし、
植食動物の餌になる樹の実や餌が豊富だったのが、
高度経済成長期以後の農山村社会の衰退によって、地域から若者の姿が減り、、
ハンターは急減し、後継者もいなく人影が減りました。
そして自然保護や野生動物保護意識が高まったこともあって密猟もなくなり、
増え続けるシカ害によって貴重な原生林が消滅し、森の奥深くで動物たちは
増え続ける一方という、バランスを欠いた異常な生態系になってしまっているのです。


人間も動物も、共に自然界の一部です。
害獣とされる山の動物だけが悪いのではありません。
何でも人間中心にものごとを図ってきたツケが
自然界のバランスを崩すことになってきたのですから、
もう一度人間も動物も共に共存できる社会を気付き直さなくてはなりません。

森にオオカミを放つまでには、まだ時間がかかるかもしれませんが、
今様々な取り組みが始まっているようです。
オオカミと犬を掛け合わせた種のハイブリッドウルフを、
獣害のある里山地域を数日パトロールするだけで、
農作物に被害を及ぼすサルやイノシシ、シカなどが寄ってこなくなったり、
群れを成す場所を変えたりすることが起きるようです。
動物の本能でオオカミの匂いがすると、その場所を避けて離れるそうです。

そうしたことからハイブリッドウルフの排泄物を利用したウルフンエキスを
各所に散布や置くなどの対策をとる方法もあるようですし、
ネットをみると様々な取り組みがあるようです。

賛否両論ありますが、やはり一番大事なことは、
人間だけが地上に生きてきたわけじゃないことや、
また森に住む動物たちの生態系のバランスがとれていたからこそ、
人間の生活が維持できたことも、たくさんあるんだ、
という認識が、もっと多くの人に広がることが大事に思えます。

森・オオカミ・ヒトのよい関係を考える "「一般社団法人日本オオカミ協会」
↑こちらでは、一般の方からの質問、疑問、不安など様々な面でのQ&Aが載っており、
読むと、オオカミとの共存に対する認識も違ってくるかもしれません。

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 ミタクェ・オヤシン 

ミタクェ・オヤシン。
この言葉は「すべての存在と繋がっている」という意味です。

ネイティブ・アメリカンのスピリチュアリティの原点であり、
「生き方」そのものを表現した言葉です。

すべての存在の創造主である偉大なる精霊、グレート・スピリット(ワカンタンカ)に
敬意を表し、感謝とともに、
その創造物である人々、動物、鉱物、水、火、風、空そして大地…
私たちとともに存在するすべてと繋がりをもち、調和して生きること。

これが亀の島と呼ばれる土地に、太古から生きてきた人々が
現在も継承し続けている、人としての「道」です。

彼らはこれを「グッド・レッド・ロード」と呼びます。
空は「お父さん」、月は「おばあさん」、大地は「お母さん」、四つ足の「人々」。
そして木や植物はブラザー、シスターと呼びます。

すべてのものにスピリットが宿っており、相互依存し、寄与し合って、
ひとつの大きな輪の中で生かされている。
この考え方は、彼らの「オファー」(捧げる)や「ギブアウェイ」(与え尽くす)の精神に
結びついています。

彼らは日々の中で、この「繋がり」を常に思い出し、
自分自身の内側および外の世界に調和を創り出すため、祈り、
そしてグレート・スピリット(グランドファーザー)のガイドを聞く。
これが、彼らが伝承してきた儀式の根本となっているそうです。



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